このコラムは、薬袋を作り続けて80年、シンリョウの記録です。
薬袋の色ってもう皆様すぐにもイメージが浮かんできますよね?
内用薬袋:紺色(プリンター薬袋は青)
外用薬袋:赤色(プリンター薬袋も赤)
頓服薬袋:緑色(プリンター薬袋も緑)
このような感じでしょうか。多分皆様も同じですよね。でも…この色の組み合わせっていったい誰が決めたのでしょうか?
薬袋の色に規定はありませんが、創立昭和19年(1944年)の弊社が現存の薬袋製造会社では古い方だと思います。
そんな弊社は、「規定色」として上記3種類(紺・赤・緑)のインクを用意しておりました。その後「シンリョウの薬袋」が世に広まっていきました。
弊社でも初めて作る薬袋をご提案する際には、今まで別の色をお使いであったとしても、「シンリョウの印刷方法による安価化」を提案しておりましたので、自然と(紺・赤・緑)の3種類のイメージが広がっていったのでしょうね。
ただ、プリンター薬袋は違いました。
電子薬歴メーカー様により薬袋の色はそれぞれ決められていました。ただ、内用薬袋は青色が多かった印象です。
これは、プリンターで発行する薬袋のインクがCMYKの4色プリントだったからです。青色=Cシアン色という事ですね。
弊社が手書き薬袋に加え、プリンター薬袋も商品ラインナップに加える際に「内用薬袋の色を変えよう」となりました。ここで登場したのが「青(アイ)色」です。
「青(アイ)色」にしたのには理由が有ります。
C(シアン)色でプリントされる内用薬袋には、名版と言えど「紺よりも青(アイ)」の方が色味が近く、患者様には優しく見えるでしょう。という患者様視点の考え方でした。
また、外用薬袋と頓服薬袋は、当時、内用薬袋と同一色で発行されるプリンター仕様も有ったものですから敢えて違う色を作らずに「赤と緑」を継承致しました。
というこんな過去が有ったのです。
ちなみに、保険処方箋が緑色だったのも弊社起因です。
薬袋デザイン集の発刊
シンリョウは医療機関様専門に印刷品の製造販売を行って参りました。
医療機関様は、現在の診療報酬の母体となる大正11年の健康保険法を元に、幾多の印刷物が有りゴム印と併せて業務を効率化されてきました。その中でシンリョウはドクターから「呼べばアイデアもアイテムも教えてくれる」と贔屓にしていただけておりました。
患者様の受付票、カルテ、レセプト、日計表、検査伝票などが昭和から平成の印刷品の主流でした。薬袋も病院様、診療所様からのご発注でした。
流れが変わったのは、医薬分業が活発化した1997年頃からです。
調剤薬局様の開業が増え出し、薬袋も薬局様からのご注文へと変わっていきます。その中で新しいご要望が生まれ出しました。面で受ける薬局様からのご要望です。「各科専門診療所様の処方に合わせた内容の薬袋デザインを用意したい」でした。
院内処方だった病院様・診療所様は、自院の処方のみに対する薬袋でしたが、調剤薬局様では「多科の処方を受ける」ことになり、「各科に合わせられる薬袋デザイン」が業務効率化に繋がるのだとお考えになったのです。
そこで、シンリョウも「薬袋デザイン集」を発刊することになりました。
薬により服薬指導内容が異なります。これは薬剤師の先生方も特に注意するところ。シンリョウでも多様化デザインを用意して参りました。
処方元に合ったデザインを選ぶだけで良いシンリョウの薬袋はとても喜ばれました。
薬袋裏面デザイン集の発刊
創業から60年が過ぎた2005年シンリョウは医療業界に対して2つの大きな革命を起こします。
①少量販売の開始(4月)
②薬袋の裏面に印刷をする(6月)
①少量販売
今の常識で考えますと、少量で購入できないストレスたるや!ですよね。世の中もコンビニエンスストアが全国に浸透し始め、「欲しい品を使う分だけ購入する文化」は変わりつつありました。医療業界でもシンリョウではいち早く、且つ、幾多の商品で少量販売を開始し、現在に至ります。薬袋も「500枚受注」が始まりました。
②薬袋の裏面印刷
少量販売と時を同じくして、「薬袋の裏面印刷」を考案しました。シンリョウでは「薬袋の裏面デザインだけのカタログ」を作り、【無料で印刷追加】のご提案を開始したのです。
当時のファッションは見た目(上着)は派手に着飾っても、本質は「タイト」が主流でした。
薬袋も実は「裏面に注意事項」(本質)が書いてあるからね。ってしたかったのです。
それまでの薬袋の裏面と言えば、無地が当たり前。または「表面をよく見てねというような簡単な2~3行」程度でした。且つシンリョウでも裏面印刷には追加印刷代を頂戴しておりました。
ただ、患者様に「間違いのない薬の服薬」、「間違いのない薬の使用」を行っていただくためには「表面の印刷内容」だけでは足りない場面が有り、薬剤師様がゴム印を押したり、補足説明を手書きされていました。この姿に対し、シンリョウは「薬袋の裏面を解放」した訳です。
一方で、課題も有りました。
患者様が、せっかく用意した薬袋の裏面を見ないのです。今まで表面しか見ておりませんでしたから「裏面を見る感覚」そのものが無かったようです。
そこで登場したのが「薬のピクトグラム」
前項の懸念に対し、シンリョウは「イラストアイコン=ピクトグラム」で対応しました。ピクトグラムを用意し薬袋に印刷することで患者様の注目を集めるようにしたのです。上記のピクトグラムもきっとどこかでご覧になっていますよね。ピクトグラムの内容は多くの薬剤師様からご意見を頂戴して作りました。今後もまた種類が増えていくと思います。
イラストアイコン=ピクトグラムが有る姿は、薬袋の理想像として、今や日本の当たり前となりました。
薬袋の裏面に印刷がある姿は、薬袋が「手書き記載」から「プリンター出力」へと移っても変わりませんでした。
むしろ両面印刷ができないプリンター薬袋の裏面には、次項のようにスペースを有効活用していく流れが発生しました。
シンリョウではいち早くプリンターメーカー様とコラボをし、薬袋の有効利用を追求したのです。
「患者様から『これ欲しかった』って褒められたの」とわざわざ報告してくれる薬剤師様が多発
薬袋のデザインは「見やすく」を心がけて製造しております。患者様に薬を正しく使用していただくためです。一方で、薬袋の裏面は患者様のために工夫を重ねました。
「服薬チェックカレンダー」は大変喜ばれました。残薬チェックにもつながるデザインです。患者様にとって薬袋は「入れるもの」「見るもの」から「使うもの」に変わりました。過去には無かった考え方ですね。他には「血圧記載欄」も好評でした。
表面は「災害時用のデザイン」や「漫画デザイン」、「英語のデザイン」も用意しました。
こちらは薬剤師様から「これ欲しかった」と喜ばれた薬袋サイズ「長大型」
シンリョウの薬袋のサイズラインナップは、手書き薬袋ですと、中型・大型・長大型・特大・長形特大・特々大・角底M型・角底L型・角底LL型と実に9サイズです。
中でも一番喜ばれたサイズは「長大型」です。このサイズは「注射薬」用に開発致しました。今までは長さが足りる大きい薬袋の中に入れていましたが、横幅も広いため中がスカスカし、患者様も保管にご苦労されていると伺いました。縦長の変形サイズ「長大型」はとても喜ばれました。
また、長形特大・角底L型は分包紙向けの薬袋です。サイズ兼用よりもぴったりサイズをお選びいただくと、患者様には扱いやすいと思います。
服薬支援から広報媒体へ
電子薬歴システムの充実により、「薬剤情報提供書」が発行されるようになりました。
これにより「薬袋の立ち位置」が少し変わってきます。①チャック付きポリ袋の出現と、②薬剤情報提供書の出現です。薬袋に詳しく印刷しなくても患者様は服薬・使用をチェックできる状況になりました。薬袋の価値が薄れてきたのです。
そこで、シンリョウでは薬袋に新しい価値を付けるべく、薬袋の裏面に「お薬手帳」や、「かかりつけ薬局」・「地域連携」など、薬局様のPRに活用できるようにデザインを用意しました。
今では、QRコードによる薬局様のホームページへの誘導(シンリョウホームページたすかる)や、順番管理システム(シンリョウまちみる)への誘導に使われるようになりました。
「患者様に手渡す」=「薬局様の広報活用」
薬袋もこの「おだいじに」の場面でPRにお使いください。
おだいじにを形にするシンリョウ
薬袋印刷製造80年のシンリョウでは、薬袋以外にも[水薬瓶][軟膏容器][スポイト][調剤機器][分包紙][医療機器][調剤棚][けんだくボトル]も扱っております。
「薬局のシンリョウ」とまとめて覚えていただくと嬉しいです。
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