コラム

マイナ保険証導入に伴い、診察券の機能と役割について今一度考えてみませんか?

医療機関様における「患者様受付業務」は、予約管理や保険資格確認、そして順番管理システムの導入など特にDX化にまつわり大きく変わってきたと実感されていると思います。
当時まとめた「患者様受付業務」に関するコラムがございます。ご参考までにご覧ください。
≫コラム【オンライン資格確認・電子処方箋】概要をわかりやすく解説します!

改めて、オンライン資格確認による「患者様受付業務」の変化を時系列にまとめると、以下のような経緯でした。

令和3年 10月 オンライン資格確認運用開始
令和5年  1月 電子処方箋運用開始
令和5年  4月 オンライン資格確認の原則導入
令和6年  6月 診療報酬改定施行
令和6年 12月 保険証の新規発行停止

従来は患者様の保険証確認とカルテへの紐付け業務は医療事務の皆様の業務でしたが、オンライン資格確認制度(マイナ保険証)の導入により、患者様情報・医療情報・服薬情報がデータで確認できるようになりました。この大きな変化に伴い、カルテを探す手間が省け、患者様を取り間違えることもなく、ドクターの診察へとスムーズに誘導できるのは大きなDX化・スピード化と言えます。
オンライン資格確認制度により、他院・薬局での医療情報・服薬情報も入手でき、総合した指導・処方も容易に可能となりました。患者様にもメリットが大きい制度が実現したのです。

【診察券は要る?要らない?】
こうした背景から、「マイナ保険証があるから診察券はもう要らないね」という医療機関様からのお声もシンリョウに入るようになりました。
院内業務のDX化を直接肌で感じていらっしゃるからこそ出てくるお声なのではないでしょうか。
保険資格確認がアナログからデジタルに変わったことは受付業務の大きな変化でしたが、果たして診察券は本当に不要になるのでしょうか?

1.診察券の機能と役割

シンリョウは、診察券を作り続けて80年の会社です。弊社社員が今までお客様からお伺いした「診察券の機能」を集めてみました。

【診察券の機能】
・磁気カードで患者様確定
・患者ナンバーによるカルテ取り出し
・生年月日、氏名による本人確認
・問診票と添付してドクターに提出する
・検診結果や検査などのオーダリング(フォルダーに入れるなど)
・診察券を受付番号札にしている
・科目分類して診察室分け
・保険分類
・次回予約控え
・当月保険確認欄
・自動精算機会計
・次回の検査内容と注意事項などをリライトカードで表示させている

以上のように診察券があることによって、業務効率向上に相当なメリットをお感じになられていたと思います。

このまま診察券を廃止し、オンライン資格確認のみで診察券の代わりとなりえるか?
オーダリングは、診察券を患者様の「目印」としても役立てていたように、診察券にはたくさんの「機能」があり、スムーズな医療業務に繋がっていたのです。
「診察券を廃止」したら、院内業務がどう変わるか?を考える必要がありそうです。

2.患者様にとっての診察券の存在意義とは?

次に視点を変えて考えていただきたいのが「患者様」にとっての「診察券」の意味合いです。
「診察券」は再診用に渡されます。つまり「リピーター確保の会員券」と同じです。

会員券として捉えるならば、貴院のことをもっと広告・宣伝しなければなりません。
こちらも、弊社社員に聞きました。診察券のご注文をいただいた際の「掲載提案した項目」です。

【診察券による広報内容】
・医療機関所在地
・電話番号(予約対応含む)
・診察時間
・休診日
・ホームページのURL、またはQRコード
・予約システムへの連携
・科目
・主な症状
・保険証注意事項
・変則診察、休診案内
・院長紹介
・地図
・駐車場案内
・連携医療機関、分院案内
・緊急搬送時の送り先

患者様の体調が悪くなった時の最初の意識は「今日は診察日かしら?」「私の症状はこの病院で診察可能かしら?」「科目は何科だろう?」から始まります。
そして、自分のカード入れやお財布の中から「診察券を探す」のです。それは、インターネット検索よりも早くわかるのです。
これが診察券の絶対的存在意義です。つまり、「リピーター確保の会員券」なのです。

インターネット検索も確かに便利な時代となりましたが、「検索で出てこない。見つけられない」といった課題があります。
「場所は知っているのに『院名』を忘れた」とか、はたまた「ホームページが無い」場合もあります。その時に貴院の診察券があれば、患者様はスムーズに貴院を視認して、情報を知ることができるのです。

診察券を早く探すために印刷のカラーを「看板の色」や「建物の色」、「ロゴマークの色」にしておくのもお勧めしています。色やロゴマークは、貴院のブランディングとして強い力を発揮してくれます。「そうそう、青い看板のクリニックさんだった」と診察券を見て思い出してくれます。ロゴマークも自院の印象を患者様に分かりやすく、いつも好印象を与えてくれます。
☆シンリョウでは、ロゴマークのご提案(イメージ作成)を行っております。安価で作成できますので、下記の資料をお求めになり、お気軽にお問い合わせください。

やはり患者様が手に持つ診察券は、「圧倒的信頼感」があります。
貴院の詳しい診療内容については、ホームページへのリンクQRコードを掲載すれば伝えられます。
自動的に広告・宣伝する診察券は、患者様の知りたい情報が盛りだくさんでとても信頼がおけるものなのです。

3.オンライン資格確認により、診察券の訂正も必要です

お手元の診察券の注意書きをご覧ください。「オンライン資格確認」により表記訂正をしなければならないことが多くあります。
下記に文例を掲載しますので、診察券作成の際のご参考にしてください。

まずは現行の診察券に「保険証」という表記が有るかをご確認ください。
「保険証」を「マイナ保険証」に変更するのがベターです。また、マイナ保険証をお持ちでない方向けに「資格確認書」も加えると良いでしょう。

【一般編】
(A)診察券は来院時必ずお持ちください。
(B)来院の際はこのカードを受付にご提出ください。
(C)本券を紛失した時は受付にお申し出ください。
(D)紛失の場合の再発行は別途負担金を頂きます。
(E)マイナ保険証は毎回必ずご提示ください。
(F)マイナ保険証または資格確認書を必ずご持参ください。
(G)お帰りの時はお忘れなく本券をお持ち帰りください。

【予約・順番編】
(H)予約時間に来院できない場合は至急お電話ください。
(I)ご予約は、QRコードから予約サイトに遷移できます。
(J)ご予約の変更は、前日までにお電話でご連絡ください。
(K)順番は診察の内容や当日の状況により変わることがございます。
(L)状況により急患を優先させていただくことがございます。
(M)受付券を発行の後、お車待機など外出されてもかまいません。
(N)お呼びした際にご不在でしたら、順番を変更させていただきます。

【注意編】
(O)ご来院の際は、顔認証機のご利用をお願いしております。
(P)保険資格に変更が有った場合にはお知らせください。
(Q)保険資格が確認できなかった場合には、ご協力をお願いする場合がございます。
(R)マイナンバーカードで認証済みの場合、次回の保険証提示は不要です。
(S)マイナ保険証への切り替えをお早めにお済ませください。
(T)体調急変時は緊急連絡先へお電話ください。
(U)薬を飲みきれなかった場合にはドクターに申し出てください。
(V)当院では、電子処方箋を採用しております。
(W)医療費助成対象の方は受給者証もお持ちください。
※2026年以降には、お子様の患者様や難病の患者様が医療費助成を受けられる仕組みを全国に広げる方針も発表されています。

尚、(Q)の保険資格確認ができなかった場合は、患者様にもご協力をいただくことが有ります。注意書き(ご協力お願い)としては、下記の3つが有ると良いです。
・資格確認書の提示
・マイナポータル画面の提示
・被保険者資格申立書に記載

4.診察券の訂正時に併せて考えておきたいこと

①保険種別の表記は最新か?今後も必要か?
診察券には、「医保・国保」などの「保険種別マーク」を印刷されることもありますが、紙カルテやファイルでの分類を行っていないようでしたら、マイナ保険証への文言訂正をきっかけに削除してしまっても良いかもしれません。

②生年月日表記は必要か?年号は正しいか?
生年月日欄は本人確認やカルテ判別にご使用されているクリニック様も多いと思いますが、科目による患者様の年齢層も考慮しましょう。「大正・昭和・平成・令和」「T・S・H・R」は、正しい選択や表記になっているか確認してみましょう。

③「祝日」と「祭日」はどちらが正しい?
実は、現在では「祭日」はございません。「祝日」と呼ばれております。祭日表記が残っていましたら訂正しましょう。

④標榜科目は正しく表記しているか?
広告をして良い標榜科目名は、厚生労働省の「医療広告ガイドライン」で決められています。参考にしましょう。
内科を例に出しますと、[消化器内科][心臓内科][血液内科][気管食道内科][胃腸内科][腫瘍内科][糖尿病内科]…などと標榜できるようです。

⑤時刻表記は患者さんにわかりやすいか?
12時間表記と24時間表記が混在していると伝わりにくくなります。12時間表記ですと[午前(AM)」[午後(PM)」表記は入れておきたいものです。併せて「診察時間表」にすると、視覚的にも一層伝わりやすいです。

HOW TO:訂正する際の裏ワザ①
診察券を訂正して使い出すと、外来の患者様ごとに新旧の診察券が入り混じった状況になります。
古い診察券をお持ちの患者様には、新しい診察券で情報更新をしないとトラブルが起こりかねません。
特に、診察時間や休診日が変わる場合は注意です。

そのような場合には、パッと見て新旧診察券を識別できるようにしませんか?

1:変更部分の色を変える
2:スタッフ様だけに分かるマークを入れる など

診察券はクリニックの顔です。
お渡し済みの患者様が、お財布やカード入れから診察券を印象で探しますから、全体の色を変えるのはお勧めしません。
クリニックカラーを決めておくのもブランディングのひとつです。既存の診察券自体の色を変えることはせずとも、ちょっとした部分のみ変更でも識別できます。例えば「診察券」という文字の色を変えたり、電話番号に色を付けて目立たせたり、診察時間表の〇を●にするなど…。何が一番判別しやすいか?スタッフ様同士でお話しされてみてください。

HOW TO:既存の診察券の在庫がまだ有る場合の裏ワザ②
訂正部分だけを隠してしまう「訂正シール」も作成可能です。印刷箇所のサイズに合わせたオリジナルサイズでお作りすることができます。
実はこの「訂正シール」は在庫してある診察券用のみならず、既にお渡しした患者様の診察券に貼ることもできます。
つまり、診察券の在庫がまだ有る状態でしたら、診察券自体を訂正し新しく作って交換するよりもこの訂正シールを作成する方がお得になるかもしれません。
ただし、スタッフ様が手作業でシールを貼ることになりますから、曲がってしまって失敗するリスクもございます。

HOW TO:ペンで記載した部分がアルコールで消えないようにする裏ワザ③
ペン字記載部分を保護するシールもお作りできます。
アルコール消毒をした手で診察券に触れると、患者様のお名前を記入した部分が滲んでしまったり、汚れてしまうことがあります。
「透明保護シール」は、お手元の診察券の手書き部分に合わせたオリジナルサイズでお作りすることができます。

詳細はこちらから≫透明保護シール

以上、診察券についてまとめてみました。

診察券は「医療機関の顔」です。
マイナ保険証で患者様を受付できるとしても、診察券を使わなくするのは最適解とは言えないかもしれません。
自院内での業務フローや、患者様の再来を促す印象化も併せて、ブランディングツールとして今後も活用して参りましょう。

診察券に関するお問い合わせやサンプル依頼はシンリョウまで是非どうぞ。

診察券の作り方

好まれる診察券の作り方やデザインが掲載された資料(A4サイズ11ページ)をシンリョウにてご用意しております。
下記よりお申し込みください。

≫診察券選びに困ったら…のダウンロードはこちらから(無料)

印刷製造80年のシンリョウでは、診察券以外にも[診療報酬書式][パンフレット・入院案内][名刺・封筒][検査用紙(印刷有・白紙)]も扱っております。
「印刷はシンリョウ」とまとめて覚えていただくと嬉しいです。

お見積り依頼は、こちらのフォームもお使いください。
≫印刷物お見積りフォーム

※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

⇒コラムトップページはこちら

⇒コーポレートサイトはこちら