コラム

医療機関における賃上げの現状と補助金を活用した対応策

日本の医療機関では、近年、賃金引き上げの動きが加速しています。特に、新型コロナウイルス感染症の影響や医療従事者不足による労働環境の厳しさがクローズアップされる中、医療機関における賃金改善は急務となっています。さらに、2024年度の診療報酬改定では、医療従事者全体の賃金を2.5%、翌年にはさらに2.0%引き上げる計画が進行中であり*1、医療機関としてはこの流れに対応せざるを得ない状況です。しかし、賃金の引き上げは人件費の増加を招き、経営に圧迫を与える可能性があります。そのため、医療機関にとっては、生産性を向上させるためのツールや補助金を有効活用することが求められています。

*1 令和6年度診療報酬改定の概要【賃上げ・基本料等の引き上げ】(厚生労働省保険局医療課)

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001251534.pdf

生産性向上に寄与するツール

賃金の引き上げとそれに伴う人件費の増加に対する一つの解決策として、生産性向上ツールの導入が挙げられます。これにより、業務の効率化や自動化が進み、スタッフの負担軽減と時間短縮が期待できます。ここでは、特に医療機関に適した4つの生産性向上ツールを紹介します。

  1. 自動精算機 ・自動釣銭機
    自動精算機や自動釣銭機は、医療機関の受付や会計業務の効率化に大きく寄与します。患者の会計処理を自動化し、スタッフの手間を省くことで、会計間違いによる患者様トラブルの防止や、締作業の負担を軽減でき、業務の正確性・生産性が向上します。特に多忙な診療時間帯において、これらのツールは大きな効果を発揮し、スタッフの負担を軽減します。
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  2. 軟膏練り機
    医療機関において、処方された軟膏を混合する作業は非常に手間のかかるプロセスです。軟膏練り機を導入することで、手作業で行っていた軟膏の混合が自動化され、効率的に高品質な軟膏を提供することが可能となります。これにより、薬剤師やスタッフの作業負担が軽減され、他の業務に専念する時間を確保することができます。
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  3. 順番管理システム
    患者の順番管理をシステム化することで、待ち時間の可視化や、患者のフローのスムーズな運営が可能になります。これにより、混雑時にもストレスのない診療環境を提供でき、患者満足度の向上にもつながります。
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  4. 診療予約システム
    予約システムの導入は、診療スケジュールの最適化に役立ちます。患者はオンラインで予約を行うことができ、診療のスムーズな流れを確保します。また、スタッフの予約管理業務も効率化され、重複予約や予約忘れを防ぐことができます。
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補助金を活用した設備投資 〜業務改善助成金(申込期限:2024年12月27日)〜

生産性向上ツールの導入には初期投資が必要ですが、補助金制度を活用することで、その負担を軽減することが可能です。例えば、厚生労働省の「業務改善助成金」*2は、事業場内最低賃金を引き上げ、生産性向上に寄与する設備投資を行った場合、その費用の一部を助成する制度です。

*2 業務改善助成金について(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html#%E8%A6%81%E7%B6%B1%E3%83%BB%E6%A7%98%E5%BC%8F

業務改善助成金の概要

「業務改善助成金」は、事業場内の最低賃金を30円以上引き上げると同時に、生産性向上に資する設備投資(機械設備導入、コンサルティング、人材育成・教育訓練など)を行った場合に、その設備投資にかかる費用の一部を助成する制度です。例えば、順番管理システムや診療予約システムの導入は、患者のフローを効率化し、スタッフの業務負担を大幅に軽減し、生産性向上に大きく寄与します。なお、引き上げる賃金額に応じて助成の上限額が異なり、引き上げ額が大きいほど助成金の上限も高くなります(最大600万円)。また、助成金の対象となる事業者は中小企業や小規模事業者であり、地域別最低賃金と事業場内最低賃金との差額が50円以内である必要があります。

補助金を活用するメリット

業務改善助成金を活用することで、以下のようなメリットが期待できます。

  1. コスト削減
    生産性向上ツールの導入にかかるコストの一部を補助金で賄うことができ、経営負担を軽減します。特に医療機関では、人件費の増加が大きな負担となるため、こうした補助金の活用は大きな効果を発揮します。
  2. 業務効率の向上
    自動化ツールの導入により、業務効率が向上し、スタッフの業務負担を減らすことができます。これにより、患者への対応やケアの質も向上し、医療機関全体のサービス向上に寄与します。
  3. 患者満足度の向上
    順番管理システムや診療予約システムの導入により、患者の待ち時間が短縮され、スムーズな診療が可能となります。これにより、患者のストレスが軽減され、満足度が向上します。

まとめ

医療機関における賃金引き上げと人件費の増加は避けられない課題ですが、生産性向上ツールや補助金を活用することで、その負担を軽減しつつ、業務効率を向上させることが可能です。これらの取り組みは、患者へのサービス向上にもつながり、医療機関の持続的な成長をサポートする重要な要素となります。

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