(PeoplePeacelanetPartnership)◇世界から注目されるバリ島と持続可能な観光 インドネシアのバリ島。世界有数のリゾート地として知られるこの島には、美しい自然とともに、独自の宗教観や文化、そして調和を重んじる哲学が根付いています。近年、未来へつなげる旅行として推奨されている持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)。これからの観光は環境保護、地域文化の尊重、経済の活性化、住民への配慮をもって実施するというもので、バリ島は欧米諸国、中東、アジアの国々など世界からその主導的位置に立つ旅行先として注目され、豊かな資源や特徴を最大限に活かしたワンランク上の旅行が世界中からの旅行者を引き付けています。◇バリ島の魅力と観光資源の多様性 東南アジアの多くの観光都市と同様に、バリ島も宿泊・食事・観光の滞在費が比較的リーズナブルであることが魅力のひとつです。そのため1980年代後半の海外旅行ブーム以降、特に格安旅行の渡航先として人気を集めてきました。サーフィンやダイビングなどのマリンスポーツはもとよりゴルフやトレッキングなども広く楽しめます。伝統工芸品や繊細なバリ絵画、エステやマッサージ、エスニックなバリ料理や、新鮮なトロピカルフルーツやシーフードなど魅力を挙げればきりがありません。◇バリ人のホスピタリティと滞在体験 これらに加えバリ島が旅行先として選ばれる理由はバリ人のホスピタリティ精神です。丁寧で心のこもった接遇が、旅行者の不安を和らげ、穏やかな滞在を支えています。ホテルやレストラン、運転手、ガイドなど、どこでどのようなサービスを受けても旅行者は特上のおもてなしを受けて特別な気分を味わうことが出来るのです。◇世界遺産・テガラランの棚田と観光体験 バリ島の中でも1、2を争う観光スポットのひとつとして大勢の観光客が集まるジャティルイやテガラランの棚田。特にテガラランの棚田は、田んぼに向かって吸い込まれるような巨大なブランコや、緑の中を紳士淑女になりきったロマンティックな記念写真が撮影できることで大勢の観光客が訪れています。棚田を見渡すカフェでは世界一高級と言われるジャコウネコの排泄物から採るコーヒーも飲むこともでき、旅のおいしい思い出作りもできます。◇トリ・ヒタ・カラナの哲学とスバック・システム この棚田は2012年に「バリ州の文化的景観 : トリ・ヒタ・カラナの哲学を表現したスバック・システム」としてユネスコの世界文化遺産に登録されました。「スバック」は「流水の配分」という意味を持つ水利組織で、村や集落とは別に構成された独立した組織です。構成員たちは、神聖視される貴重な水資源の分配や統制、農作業、水に関する儀礼への参加、さらには地域の秩序維持など、多岐にわたる役割を担っています。「トリ・ヒタ・カラナ」とは、バリ島にある人生哲学で、人間と神(精神環境)、人間と社会(社会環境)、人間と自然(自然環境)の三者の関係が調和する事で安定と喜びを得るという考え方です。住民はこれらのバランスが崩れることは良しとせず、人々の生活は「トリ・ヒタ・カラナ」に基づいて営まれています。◇世界的な注目とSDGsの接点 国連が特定した「持続可能な観光に関するアジェンダ」の中で、2030年までに持続可能な開発の目標を達成するために重点的に取り組むべき「5P」というのがあります。人間)、繁栄(Prosperity)、地球(P平和()、パートナーシップ(のことで、この「5P」と「トリ・ヒタ・カラナ」には通ずる理念があるとして、世界的に持続可能な観光の先駆け・モデルケースになり得るとしてバリ島の観光が今世界から非常に期待されているのです。◇自然素材と伝統に根ざした暮らし バナナの葉で包んだご飯に喉の渇きを潤す天然のヤシの実ジュース。バリ風建築のオープンエアのキッチンやバスルームは風通しが良く鳥)、バリ島が注目される理由とサステナブル・ツーリズムの潮流バリ島の文化的景観と哲学バリ島の暮らしと自然との共生 10調和に抱かれる楽園へ― バリ島で体感するサステナブルな旅 ―
元のページ ../index.html#10