る」と考えがちですが、医療法人の定款によっては「一人一票」や「理事会優先」のルールがあり、実際には経営のコントロール権を持てないこともあります。買収後の経営トラブルの温床になります。③出資者全員の同意が必要な場合がある 定款や法人規則によっては、出資者の全員一致が譲渡の前提になることも。理事長一人の判断ではM&Aが成立せず、1人でも反対すれば交渉がストップします。事前に出資構成と定款の確認を怠ると、時間と労力が無駄になるリスクが高いです。④定款変更が困難なため、 制度的に柔軟な対応ができない 持分の放棄や持分なし法人への移行といった対策は、理事・社員総会の特別決議が必要な上、自治体や厚労省の許可を要する場合もあり、現実的には簡単に進められません。「後で変えればいい」という考えは通用しないのが医療法人です。 これらの問題は、医療法人特有の法律・制度・定款に対する深い理解がなければ見抜けないことばかりです。こうした持分あり医療法人の譲渡に関わるリスクを低減するためには、譲渡前に持分評価額を下げるなどの対応策を計画的に立てる必要があるため、医療機関専門のM&A仲介会社に早めに相談することが大切です。 持分のない医療法人は、相続税リスクや出資者間の同意取得といった煩雑な問題が少ないため、一見するとM&Aが進めやすいように思われます。しかし、それでも医療機関特有の制度や運営上の制約は数多く残っています。たとえば、保険診療の継続、医療法に基づく変更手続き、職員や患者の引き継ぎといった点で、一般企業とは異なる配慮が必要です。持分あり、持分なしに関わらず、医療に関する制度理解と現場感覚のある仲介会社を選ぶことは、円滑な譲渡に不可欠な条件と言えるでしょう。「持分なし」でも仲介会社選びは重要 7医療機関M&Aの特殊性をふまえたうえで、仲介会社を選ぶ際のチェックポイントをまとめました。ぜひ参考にしてみてください。□ 医療法人のM&A実績がある□ 持分や医療法についての知識がある□ 医療機関専用の評価手法を使っている□ 契約内容が明確である□ 医師のキャリア支援にも理解がある□ 弁護士・税理士・社労士と連携している過去に何件の医療法人を扱ったか「持分あり医療法人となしの違い」を説明できるか一般企業のEBITDAだけで評価していないか着手金、成功報酬、途中解約の条件を明示しているか売却後の働き方や勤務条件も考慮してくれるかワンストップで支援できる体制があるかチェック項目確認のポイント監修/セントラルメディエンスグループ 代表取締役 中川隆太郎“医療を止めない”を経営理念に、医療に必要なあらゆるバックオフィスを担うメディカルインテグレーター™として医療機関専門のM&Aを手掛ける。「メディカルM&A」事業では事業承継のほか、事業のステップアップ・戦略的再編を図りたい医療機関のバックアップを多角的に行っている。 https://centralmedience.com/お気軽にお問い合わせくださいお客様コールセンター(平日9:00~19:00まで受付)お問い合わせフォーム ▶仲介会社の選び方チェックポイント0120-7-11296
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