Doctor'sライフ 10
9/20

 正式名称は美しい山と海を意味する「ベル・モンターニュ・エ・メール」といいます。これを親しみやすいように「べるもんた」と愛称を付けました。 車内は外装に合わせた濃いグリーンで統一された座席で、落ち着いた高級感が漂います。富山県の伝統工芸品である井波彫刻が8作品展示され、木の温もりと美しい彫刻が電車内であることを忘れてしまいそうです。また、吊り革には高岡銅器をイメージした銅箔が使用されています。ほかにも、庄川挽物木地の茶碗や、越中三助焼の湯飲みなど沿線の伝統工芸品の展示もあり、1車両とコンパクトながらも、沿線の魅力が存分に感じられるデザインとなっています。 また運行中の最大の楽しみに沿線の雄大な自然を忘れてはなりません。べるもんたには曜日によって分けられた氷見線、城端線の2路線があり、どちらも違った魅力があります。まず氷見線は、富山湾へ向かう路線で、窓からは一面の海が飛び込んできます。海岸線ギリギリを通るので遮るものが何もなく、まるで海の上を走っているようです。一方の城端線は山に向かって運行し、大きくそびえる立山連峰を遠くに望みながら田園風景を進みます。終点の城端には曳山会館があり、約300年の歴史をもつ迫力ある曳山の展示を間近で見られます。 車内では、事前の予約は必要ですが、富山湾の新鮮な海鮮が楽しめるお寿司やお刺身、丼などの食事も販売しています。寿司は寿司職人が乗車し、直接握ったものを提供してくれる珍しい演出も魅力です。地酒の飲み比べや現地のおつまみセットもあり、ほろ酔い気分での旅も日常を忘れられるひとときでしょう。 52席の至福はその名のとおり、座席数が52席だけのレストラン車両がある特別な列車です。東京から、埼玉県秩父までを結ぶ片道の運行で、洗練された車内でコース料理を味わいながら贅沢な時間を過ごします。乗車時には入り口にレッドカーペットが敷かれ、始まりから普通の鉄道旅行ではない特別感を演出しています。 外観は秩父の四季と荒川の水をイメージし、1車両ずつ季節を感じるデザインです。車両は建築家の隈研吾氏が監修しており、地域の木材をふんだんに使用しました。2、4号車のダイニングはそれぞれデザインや雰囲気がガラッと変わり、どちらの車両も贅沢な装いもありつつ、くつろげる空間となっています。約3時間の乗車時間で、コース料理を楽しむのもよし、行き先までの景色の移り変わりを楽しむのもよしです。 提供されるコース料理は、有名シェフや有名店の監修で作られた特別なコースです。さらに、沿線の食材を使用した至福の一皿も提供されます。どちらも3か月ごとにメニューが変わるため、一度だけではなく何度も利用したくなるでしょう。3号車はキッチンが完備された車両で、オープンキッチンでは、シェフたちが料理を作っている姿も見られる点も特別感を演出するひとつ。 運行コースは2つあり、ブランチコースは池袋か新宿から、ディナーコースは秩父からの出発です。ブランチコースは秩父まで行き、午後からはのんびり散策がおすすめ。ディナーコースでは、当日朝から秩父へ行き、ゆっくりと観光を楽しんでから帰りに利用するのがおすすめです。秩父での旅の余韻に浸りながら帰り道も特別な一日を過ごせます。 秩父での観光は秩父三社をはじめ、歴史を感じる施設が多くあります。また、首都圏からほど近い場所でカヌーやアスレチックなどのレジャー体験もでき、自然あふれるスポットも魅力です。 9※写真は全てイメージです鉄道は交通機関としての利用が日常で、旅行という印象を持つ方は少ないかもしれません。観光としての鉄道は地域の特色をいかした魅力あふれるものが多くあります。地域の雰囲気に溶け込んで景色や食事を楽しみ、日々の疲れを癒す旅行に出かけてみてはいかがでしょうか。鉄道旅行でゆったりと癒しの旅へ旅するレストラン「52席の至福」 埼玉・秩父べるもんた 富山・城端線、氷見線

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る