Doctor'sライフ 08
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しょう。譲渡対価の算定は仲介会社によって異なり、また、手数料の金額や方式にも注意が必要です。特に借入金のあるクリニックの場合は、借入金も含めて移動資産とみなして手数料を算出する方式かどうかで、手残りが大きく異なります。院長先生・理事長先生の悩みや引退後生活についての希望を理解し、寄り添ってくれる仲介会社であることも大切です。 後継者問題はクリニックにとって大きな課題であり、後継者不在の場合は閉院や解散か、M&Aかで悩まれている院長先生・理事長先生もいらっしゃることでしょう。多くの選択肢がある中で、地域医療や患者様のためにはどの方法がよいのかを検討することはもちろんですが、院長先生・理事長先生自身の引退後の生活をイメージしたときに、最も悔いがなくハッピーな方法を選択するという視点もあわせて持つことが大切です。 都内病院の理事長であったO医師がM&Aを検討し始めたのは3年前のこと。当時、O医師にはステージ3の胃がんが見つかり、手術は成功したものの、抗がん剤の副作用で涙が止まらず、手術の執刀もままならなくなっていました。一方、病院は長年赤字が累積。子供たちは全員、医師以外の仕事についており、親族に跡を継ぐ人はいません。雇用している院長も高齢のため、そろそろ次の院長を探さなければと思っていたタイミングでした。 「院長探し一つとっても闘病中の身には体力的・精神的な負担が大きく、限られた時間の中でやりきるのは難しいと感じました。そのため、院長探しも含めてすべて任せられることを条件にM&A先を探し、自分は医療の現場からも退くことにしました」 現在は治療を続けながら、愛犬とのウォーキングを日課に、趣味のヨットやゴルフ、スキーを楽しむ毎日です。 「命のあるうちに、信頼できる先に経営を任せられてよかった。病院のためを考えると、最善の選択だったと思います」■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■まとめお問い合わせフォーム ▶7監修/セントラルメディエンスグループ 代表取締役 中川隆太郎“医療を止めない”を経営理念に、医療に必要なあらゆるバックオフィスを担うメディカルインテグレーター™として医療機関専門のM&Aを手掛ける。「メディカルM&A」事業では事業承継のほか、事業のステップアップ・戦略的再編を図りたい医療機関のバックアップを多角的に行っている。 https://centralmedience.com/お気軽にお問い合わせください高校・大学時代からのヨット仲間と。右がO医師。お客様コールセンター(平日9:00~19:00まで受付)0120-7-11296がん罹患、後継者不在の不安を乗り越えてO医師の「ハッピー引退ライフ」

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