Doctor'sライフ 08
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■ ラベルと名前に見る工夫 日本酒は味だけでなく、イメージを大きく左右するラベルや名前も時代と共に変化しています。ラベルには酒造の工夫が見られ、近年ではポップなデザインが増えてきています。瓶を見て選べる居酒屋も多いため、ラベルや名前を見比べて選ぶのも楽しみ方の1つです。 例えば夏酒では、夏を印象付けるために海や花火などの風物詩のイラストが入ったり、涼しさをイメージさせる青色のラベルと瓶が使われたりするものもあります。また、漢字だけでなくひらがな・カタカナ・英語なども増えていて、ラベルからコンセプトが垣間見えます。名前から感じるイメージと実際の味とを比べるなど、通な楽しみ方もできるでしょう。 同じ日本酒でも、温度や食べ物の相性、酒器などで味わいが変化します。基礎知識だけでなくトレンドも押さえておくと、日本酒の知識が広がって、仕事仲間や友人などとの話のタネにもなるでしょう。自分なりの感性で新しい日本酒の楽しみを見出してみてください。令和のトレンド日本酒を様々な角度から楽しもう冷酒を合わせると生臭さが気にならずに楽しめます。よく出汁の染みたおでんの大根に、米の旨味がしっかりと乗った熱燗は冬の風物詩です。このように、味の濃い食べ物には旨味が強い日本酒、熱い食べ物には熱燗という相性を合わせる「ペアリング」は基本の考え方です。 一方で、食べ物と日本酒の味の重なりから新しい味わいが生まれる、「マリアージュ」という考え方もあります。どちらも一興で、楽しみ方に幅があるのが日本酒の良さといえます。■ 酒器で楽しむ 日本酒は、酒器で舌触りや温度変化の度合いが変わります。片口(かたくち)や徳利(とっくり)、お猪口(おちょこ)などで楽しむ方が多いのではないでしょうか。 陶磁器の酒器は熱を逃がしにくく、錫(すず)のものはお酒の雑味を取り、丸く甘くするとされています。底に青い二重の円が付いた蛇の目模様のお猪口では、白い部分で色を、青い部分で透明度を見ることで酒質を判断できるのも楽しみ方の1つです。 一方グラスで飲むと、器の匂いがないため日本酒の香りがはっきりと分かります。飲み口が広がった形状の天開(てんかい)や、手の温度が伝わりやすい丸グラスなどがあります。 お祝い事などで升で飲むときは華やかな木の香りを楽しみましょう。漆器は同じ木からできていても升とは異なり、滑らかな口当たりが特徴で飲みごろの温度を長く保ちます。 日本酒は日本の伝統産業の1つですが、日々進化し、トレンドが変わっています。トレンドを知れば新しい日本酒の魅力に気付けて趣味の幅が広がるほか、話のタネにもなるでしょう。■ 流行の風味 風味のトレンドは、若い世代にも飲みやすさのあるフルーティさやガス感です。フルーティなものは薫酒(くんしゅ)と呼ばれ、リンゴやバナナのような豊かな香りと、軽めの味わいが特徴です。日本酒離れが進んでいる若い世代にも、ワインのように楽しめて人気があります。微炭酸を感じられる、火入れを行わず造られる生酒や、炭酸ガスを注入したスパークリング日本酒も種類が増えています。 また、アルコールを添加した本醸造も注目度が高まっている日本酒の1つです。日本酒が好きな方のなかには、本醸造はおいしくないというイメージがある方もいるでしょう。しかし、醸造用アルコールは研究が重ねられ、品質が年々向上しています。通好みの淡麗辛口のものから華やかな香りとフルーティな旨味を持つバランスの優れたものまで、様々な種類があります。■ 品評会で見る最先端 日本酒の味を競う品評会は、様々な形式で開催されています。品評会によって審査基準やテーマは異なりますが、香りや味わいのほか、多様性や新たな醸造技術なども求められます。 ブランドや知名度に左右されないよう銘柄が隠され、酒質のみで審査されるのが一般的です。海外でも日本酒の知名度が上がっており、フランスなどでも日本酒の品評会が行われています。こうした品評会で入賞した銘柄こそ、流行の最先端といえるでしょう。 審査を受けるにあたり、各酒造は日々追及している技術を結集します。一部の大会では市販の日本酒のみで審査が行われ、より地力の出る形式になっています。13

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