Doctor'sライフ 04
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7■非課税期限が無期限化して ロールオーバーが不要に■NISA制度の恒久化で 長期的運用を実現● 年間投資上限額の拡大● 生涯非課税限度額の新設 新NISAでは年間投資上限額が360万円まで拡大されました。従来のNISAはつみたてNISAが40万円、一般NISAが120万円だったため、大幅に拡大されることが分かります。360万円の内訳は、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が240万円です。つみたて投資枠ひとつ見ても、従来のNISAが毎月3万円強の積み立てしかできなかったことに対し、つみたて投資枠では毎月10万円の積み立てが可能になります。年間投資上限額の拡大は、新NISAの変更点のなかでも、目玉と言っても過言ではない改正になるでしょう。 もうひとつの大きな変更点として、生涯非課税限度額の新設があげられます。これは買付金額ベースで合計1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)が非課税になるということです。この場合、年間投資上限額の360万円を毎年使い切る人は「6年目以降はどうなるのだろう」と心配になるかもしれません。確かに、そのペースでは5年で生涯非課税限度額に達し、それ以降、新NISAでの投資が不可能になってしまうと考えるでしょう。しかし、新NISAは「売却した場合は買付金額分の枠が戻る」という特徴があります。簡単にいえば、5年目までに360万円分を売却すると、翌年以降その分の投資枠が空き、また最大360万円まで投資ができるようになるということです。 従来のNISA制度にはこのような生涯非課税限度額はありませんでした。途中で売却しても枠が空かなかったため、長期的な投資が難しかった一面があります。新NISAでは、生涯非課税限度額の新設と買付金額分の売却で枠を空けられるシステムが取り入れられ、長期的な投資を考える人にとって使いやすい性質が備わりました。 この生涯非課税限度額は、従来のNISAとは切り離して取り扱われます。現在、従来のNISAを使って投資している人であっても、新NISAに限度額が持ち越されることはありません。限度額ゼロから始められます。さらに、従来のNISAですでに運用している分はそのままプラスできます。たとえば従来のNISAで100万円を利用している場合、新NISAの非課税限度額1,800万円と合わせ、合計1,900万円の非課税限度額が設定されるシステムです。 非課税期限の無期限化は、従来のNISAでおこなわれていたロールオーバーを不要にすることにもつながります。従来のNISAでは、非課税期限(5年)が終わる頃、売却かロールオーバーを選ぶ必要がありました。しかし、非課税期限が無期限化したことにより、ロールオーバーは事実上撤廃されることになります。いままでは5年間隔で投資計画を立てる必要がありましたが、新NISAでは長期的な投資計画が可能です。また、ジュニアNISA(2023年12月で新規投資停止)を運用している人は、新NISA施行時に満18歳を迎えていれば、自動的に新NISAへ移行されることになっています。若いうちから資産形成をするメリットを享受できるでしょう。 なお、満18歳を迎えていない場合は、継続管理勘定扱いで非課税保有が続けられます。満18歳になればやはり自動的に新NISAへ移行されるため、運用を続ける予定であれば口座を解約する必要はありません。 従来のNISA制度にはさまざまな制約があり、人によっては最長5年で投資計画の見直しに迫られていました。新NISAはそのような制限を撤廃、あるいは柔軟に改革することにより、制度の恒久化と長期的運用を実現させます。この変化で「資産運用が劇的に変わる」という見方も出るようになりました。長期的な運用計画を立てやすくなり、税制上の優遇措置が受けられる新NISAは、投資の収益を非課税で最大限まで活用できる制度です。 従来のNISAでは物足りなさを感じていたり、利用する必要性がないと感じていたりした人も、新NISAなら満足感や利用価値を見いだせるのではないでしょうか。資産運用や投資は必ずしなければいけないものではありませんが、うまく活用すれば大きなメリットが生まれます。とくに新NISAは従来のNISAから大きく改革され、さまざまな面でメリットが感じられるようになるのです。新NISAは注目に値する制度だという声が多く上がっています。資産運用に興味があるのなら、2024年1月の施行前に、資産運用の選択肢のひとつとして詳細をチェックしてみてはいかがでしょうか。

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