Doctor'sライフ 04
13/20

◆モノ クリニックの場所、医療設備、備品などの資源を指します。この中でクリニックの事業承継で重要なのは場所です。 場所については、クリニックで不動産を購入されている場合は特段問題ございませんが、賃貸契約の場合は注意が必要です。医療法人の場合は院長先生が変わったとしても契約者は同じ医療法人なので賃貸契約を引き継げますが、個人クリニックの場合は院長先生が契約者なので院長先生が変わると賃貸契約を引き継げない可能性があります。 また医療法人の場合でも定期借家契約の場合は注意が必要です。定期借家契約だと契約満了時に原則退去しなければならないので、承継したとしてもその場所でクリニック運営ができなくなり、患者さんの足が遠のく可能性がしばしばあります。 最近の不動産の傾向では定期借家契約のテナントがほとんどですので、事業承継時にはこの対策が必要になってきます。◆カネ カネとは、まさに現金・預貯金・金融などのお金のことを指します。もちろん現金や預貯金も重要ですが、金融についても考慮しなければなりません。 特に医療法人の事業承継でよく問題になるのが金融機関の経営者保証です。経営者保証とは、医療法人の運営がうまくいかなく◆情報なった場合には債務者である医療法人から金融機関は取り立てますが、このとき経営者保証があると連帯債務者である院長先生の個人財産まで取り立てられてしまいます。この経営者保証が厄介な点は事業承継をした場合に承継先が経営者保証をしなければならなくなるところです。 例えば病院が古くなってきたため金融機関からお金を借入、新しい病院を立て替えしたとします。その5年後に事業承継を行ったとすると、承継先は以前新しく建てた病院は先代の意思決定により行った選択(デザインなどに口を出せないケースが多い)にもかかわらず、その借入まで責任を持たなければならないという不満が出てしまい事業承継に支障が出ているケースが多数あります。 円滑な事業承継を実施できるようにするため現在金融庁の方で「経営者保証ガイドライン」というものがあり、なるべくこの経営者保証については外すように各金融機関に指導をしております。したがって経営者保証がある場合は、取引先金融機関に対し外す交渉を行っていくことが必要となります。 「情報」とは、クリニックの顧客情報や医療技術、ノウハウなどを指します。 事業承継をする際にクリニックの情報の中で特に重要なのが、カルテの引き継ぎです。これがないと承継前の患者さんが来たとしても診察は初診となってしまい、患者さんの引き継ぎができません。 個人情報保護法では、「合併その他の事由による事業の継承に伴って個人データが提供される場合」の例外規定が定められており、患者さんの同意がなくても引き継ぎが可能となっています。ただし利用目的の範囲外のカルテの利用は、患者さんの同意が必要になってきます。したがってカルテの引き継ぎですが、法令を遵守して進めないと個人情報保護法違反になるケースもありますので、慎重に進める必要があります。 なお、カルテの法定保存期間は5年ですが、損害賠償請求ができる期間は最大で医療行為の時から20年間となっておりますので、万が一訴訟になった際に備えて20年間分のカルテを引き継げるようにすることが望ましいです。紙面での管理は厳しいため電子カルテへの移行をすることは事業承継をする上で両者にとって必要なことと考えます。事業承継を検討余裕を持ったスケジュールで行いますお問い合わせフォーム13事業承継の流れ(スケジュール)シンリョウでは事業承継をご相談できる専任コンサルタント会社のご紹介が可能です。安心してご相談いただけるようお取次ぎいたします。独立希望者様を後継者候補として相 談ご紹介専門コンサルタント譲渡案件を独立・開業の相談ご紹介クリニック経営者様独立・開業希望者① 専任コンサルタント探し/承継時期・金額などの条件設定② 譲渡資産、営業権の評価額算定③ 後継者候補との面談と選定④ 後継者の決定と基本合意契約の締結⑤ 承継の実施/最終契約書の締結⑥ 経営権、スタッフ様・患者様の引き継ぎ⑦ 譲渡対価の支払い⑧ 書類の記入など行政上の手続き監修 サン共同税理士法人 医療承継経営コンサル部事業責任者 税理士 袖野弘毅

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る